着物を着る仕事をしたい!どんな種類があるの?

日本の伝統的な民族衣装である着物。七五三や成人式、結婚式などで着たことがあるという方がほとんどなのではないでしょうか。着物は人生におけるハレの日に着る特別な衣装という位置づけの方が多い一方で、旅先やお稽古事など日常的に着物を楽しんでいる方もいます。

洋服のように着物をもっと気軽に着たいという着物が大好きな方や自分で着付けができる方、もっと着物を着る機会を増やしたいという方は、仕事で着るという方法も。着物を着る仕事といえば、呉服店で働いている店員さんを思い浮かべるかもしれませんが、それ以外にもさまざまな職業があります。

そこでこの記事では、着物を着ておこなう仕事について詳しく解説します。その職業に就く方法や気になる報酬まで、深堀りします。「着物を着て働きたい」と考えている方は、ぜひチェックしてくださいね!

着物を着る仕事の特徴は?

着物を着ておこなう仕事にはさまざまな種類がありますが、共通して言えるのは「和の文化に関係するもの」「基本的に人と関わるもの」このふたつです。

日本の文化に造詣が深いこと、それを人に伝えたりもてなしたりする仕事と言えるでしょう。どんな仕事があるのか、具体的に見ていきましょう。

旅館の女将

まずは、温泉旅館や老舗旅館などを切り盛りする女将の仕事をご紹介します。

旅館の現場責任者である女将の仕事は、接客をはじめ、経営や運営管理などのマネジメントなど多岐に渡ります。また仲居や料理長、板前などスタッフを取りまとめるのも女将の大切な仕事のひとつ。

ここ数年はコロナ禍によりインバウンド需要は減少傾向にありますが、アフターコロナでは、また外国人旅行客が増えることが予想できるため、語学力のスキルも必要となります。

お客様の要望にスムーズにお応えできるよう、最低限の語学力は身に着けておくといいでしょう。

旅館の女将になるには?

規模によりますが小さな旅館は家族で切り盛りしているところも多くあります。嫁いだ先が旅館で、家業を手伝うことになり女将になったという方もいます。

それ以外では、求人広告を見て応募し、旅館やホテルに採用されるケースが多いでしょう。ほとんどの場合、学歴不問ですが、大学、専門学校でマネジメントや経営、サービスなどを学んでいる方もいます。

入社してすぐに女将として働くことはほとんどなく、数年スタッフとして働いてから能力に応じて女将になるパターンが一般的です。

旅館の女将の収入は?

収入は、見習いやスキルによって幅はありますが、月収25万円程度からスタートすることが多いようです。女将自身が旅館を経営している場合は、年収1,000万円以上を稼ぎ出すことも。旅館の業績によっても大きく左右されるので、求人募集があった際は、しっかりとした下調べが必要です。

料亭・割烹の女将

料亭や割烹の女将も仕事中に着物を着ることが多い職業です。女将はいわゆる店長の立場になります。仕事内容は、顧客管理やスタッフ管理、接客などがメイン。時にお料理の配膳や会計といった業務を担うことがあるでしょう。

また、料亭や割烹は価格が高いため、お客様へのサービスの質や高い知識が求められます。例えば、料理に使われている素材や対する質問にもすぐに答えられるよう、勉強する必要があります。

料亭・割烹の女将になるには?

ネットや求人誌などで求人募集をしていることが多いようです。特に必要な学歴や資格はありませんが、高級店であればあるほど、作法や言葉遣いに厳しいので、しっかりと勉強して身に着ける必要があります。

しかし、未経験でも仕事をしながらスキルを身に着けることも多く、作法や言葉遣いが身についてないから採用されないというわけではありません。気になる求人先があったら募集要項をチェックして、ぜひトライしてください。

料亭・割烹の女将の収入は?

年収は300万円台くらいからスタートが一般的で、決して多い方ではありません。実践的なスキルを身に着けて、年収アップを目指しましょう。

仲居

仲居は、主に旅館などの宿泊施設で接客や客室係を担当する職業のことを言います。以前は、料亭や割烹などのフロアを担当する方も仲居と呼んでいましたが、今は旅館の客室係をそう呼ぶことが多くなってきました。

仲居は旅館スタッフのなかで、もっとも宿泊客と接する機会が多い立場です。仲居の接客によって、宿泊客の満足度が大きく左右されるため責任重大です。

具体的な仕事内容は、宿泊客のお出迎え、荷物の預かり、食事の配膳、布団を準備などが挙げられます。ホスピタリティが問われるおもてなしのプロと言えるでしょう。

仲居になるには?

仲居も女将と同様、特別な資格が必要なわけではありませんが、専門学校や大学で観光学を学んでから職に就く人が増えています。学校から仕事を紹介してくれることもあるようです。

その他では、ネットや求人誌をチェックして募集している旅館などを見つけましょう。また、正社員にこだわらなければ、派遣会社に登録するという方法もあります。

着物を着る仕事ではありますが、料理を運んだり布団を敷いたりと体を動かすことが多いため、体力に自信がある方が向いています。

仲居の収入は?

一般的に年収300万円前後であることが多いようです。マネージャーの役割もある女将と比べると、収入は上がりにくいと言えるでしょう。しかし、勤務エリアや旅館によっては平均以上の収入を得られることも多いので、職探しの際には、しっかり調べてから応募することをおすすめします。

着付け師

着付け師は、その名の通り、お客様から依頼を受けて着物の着付けをする職業です。着付けの場は慶事から弔事まで幅広く、状況に合わせて素早くきれいに着付けをする必要があります。

着付け師に着付けを依頼するシーンは、卒業式や結婚式、七五三、葬式など、その多くは人生の節目。写真撮影をすることも多いため、美しく着付けすることを求められます。

また着付けをするだけではなく、似合う着物や小物の提案、コーディネート、立ち振る舞いにいたるまで、着物のトータルアドバイザー的な役目も担っており、高い技術と感性が求められる仕事です。

着付け師になるには?

着付け師は即戦力が求められるため、まずは着物教室や専門学校で技術をしっかりと身に着けましょう。専門学校はブライダル系や和装系ならば、着付けを学べるうえ卒業後の就職先を紹介してくれることもあります。

必ず必要というわけではありませんが、国家資格である着付け技能士の資格を持っていると、仕事に結びつきやすいしょう。

着付け師の勤務先は、結婚式場や呉服店、デパート、着付け教室、美容室などです。またフリーランスの着付け師として自宅で着付け教室を開業する人もいます。

着付け師の収入は?

着付け師の平均年収は、エリアにもよりますが東京などの都市部では400万円上、地方だと300万円台と言われています。フリーランスの場合は他の仕事と掛け持ちしている人もいれば、大きく稼いでいる人もいるでしょう。

また着付けだけではなく、ヘアメイクもできると仕事の幅が広がります。

茶道家

昔は花嫁修業の習い事として人気が高かった茶道。今でも礼儀作法やマナー、所作の美しさを学べるとあり、茶道を趣味とする方は多くいます。

茶道家の仕事内容は、茶道教室やカルチャースクールで、生徒さんに茶道を教えることです。作法だけではなく、茶道の心や使用する器、季節に合わせたお花の選び方などを丁寧に教えます。

作法や立ち振る舞いなどが流派によって違うのも、茶道の特徴と言えるでしょう。

茶道家になるには?

茶道家は他の職業と比べると独特で、家元制度で成り立っているところがほとんどです。茶道家になるには、家元に弟子入りするのが近道。師範の免状を取ることができれは、自分で教室を開くことができます。ただし、流派によっては初級からはじまり、上級、講師と10年以上稽古を重ねる必要があります。

茶道家は、カルチャーセンターなどで講師を募集していることもありますが、基本的にフリーランスの場合が多いです。

茶道の流派は500以上あると言われており、そのなかでも「三千家」と呼ばれている表千家・裏千家・武者小路千家が、メジャーな流派です。名が知られている流派の方が、比較的生徒を集めやすいので、弟子入りするときの参考にしてください。

茶道家の収入は?

茶道家は20代で家元になれることはまずなく、生徒の人数や流派によっても収入は大きく違います。駆け出しの茶道家はそれだけで生活するのが難しいため、その多くは資産家と言われています。

茶道家の主な収入源は弟子からの免状料で、トップクラスだと月収で1,000万円を超えることも。大きく稼ぐ人は一握りですが、夢のある仕事と言えるでしょう。

日本舞踊の講師

日本の伝統芸能である日本舞踊の講師も着物を着ておこなう職業です。日本舞踊を生徒に教える他、自分自身も日本舞踊家として舞台に立ち、人によっては全国で公演もします。

日本舞踊は、礼儀作法が身に付く、日本の心を学べる、度胸が身に付く、所作が美しくなる、一生続けられる等、メリットをたくさん享受できる伝統芸能です。

日本舞踊は、子どもから大人まで幅広い年齢の生徒がいるため、教え方にも工夫が必要です。

日本舞踊の講師になるには?

日本舞踊も茶道と同様に流派があり、五大流派である花柳流・藤間流・若柳流・西川流・坂東流の他、その数は100以上とも言われています。日本舞踊の講師になるには、舞踊教室で稽古を積み、名取になることが必要です。

名取とは、一人前の日本舞踊家として認められた証になる免状のことです。名取になるには、所属している流派の師匠から推薦をもらい、家元がおこなう名取試験に合格する必要があります。

また師範名取という免状もあり、これを取得すると自分で弟子を取ったり、弟子に名取の資格を取らせたりすることが可能です。

しかし名取になるには、少なくとも10年以上かかると言われており、なかには20年経っても免状が取れない場合も珍しくありません。日本舞踊の講師は、かなり狭き門と言えるでしょう。

日本舞踊の講師の収入は?

日本舞踊の講師は、生徒さんからの月謝が主な収入源です。また舞台で踊ることでも収入を得ることができます。ただ日本舞踊だけで食べていくことは難しく、他の仕事をしながら続けている方も多くいます。

落語家

落語家も着物を着る職業のひとつ。室町時代から続く日本の伝統芸能である落語を寄席やテレビなどで演じ、人々を楽しませるのが落語家(噺家とも言います)の仕事です。

仕事のメインは演芸場でおこなう寄席です。また落語家として人気が出れば、テレビやラジオ出演も可能です。また動画サイトなどで、芸を披露している落語家もいます。

落語家になるには?

落語家になるには協会に所属している真打に弟子入りして修行を積むのが一般的です。なかには協会に所属していない落語家もいますが、寄席定席(常に寄席をやっている演芸場)に出られないなどの規制があるため、活躍の場が限られます。

東京であれば、落語協会、落語芸術協会、五代目円楽一門会、落語立川流、また関西では、上方落語協会が主な協会です。さまざまな寄席に足を運び「この人だ!」と思える師匠を見つけてください。

しかし、だれでもすぐに入門できるわけではありません。熱意や情熱が師匠に認められて、初めて入門できるため、それなりの覚悟が必要です。

入門後もすぐに落語家になれるわけではなく、前座見習いから始まり、長い下積み生活を送ります。その後、前座、二つ目、真打とステップアップしていきますが、実力勝負の厳しい世界なので、全員が真打になれるわけではありません。

また最近では女流落語家も出てきましたが、基本的には男性社会と言えるでしょう。

落語家の収入は?

前座見習いの間は、あまり多くの収入を得ることができません。師匠や兄弟子からご飯をごちそうになるなどして、生活している人が多いようです。前座になるとひとつの仕事で1万円、二つ目になると3万~5万円ほど、真打になると10万円以上がだいたいの目安です。誰もが知るような有名な落語家になると、収入は青天井に。

狭き門ではありますが、夢のある仕事と言えるでしょう。

まとめ

着物を着ておこなう仕事について、詳しくご紹介しました。

着物を通じて日本文化や心を伝える点が共通点と言えるでしょう。着物を着ると姿勢も良くなり、所作も美しく、洗練された身のこなしを身に着けられます。着物を着る仕事は、自分で素早く着られるのが最低条件です。着付け教室などに通い、着付けをマスターしましょう。

「着物を着て仕事したい」「日本の心を伝えたい」という方は、ぜひ参考にしてくださいね。

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